2026/06/04 11:06


半水耕栽培との出会い

2年ほど前、「半水耕栽培」というものを知りました。

正確には「セミハイドロポニックス」というらしい。
土でも、完全な水耕栽培でもない、その中間のような育て方です。
詳しいことはよくわからないまま、なんとなく「おもしろそう」だと思って始めてみました。

きっかけは、室内で育てていたウンベラータの剪定でした。
切り落とした枝を水に挿しておいたら、しばらくして根が出てきました。
水の中で生まれた根なのだから、水で育てるのが自然だろう、と。
せっかくなら土に戻すより、このまま水耕で育ててみようと思いました。

ついでにザミオクルカスも試してみることにしました。
葉を水に挿すと根が出てくる、という話を聞いたことがあって、それを半水耕栽培で試してみたかったのです。
株から葉をいくつか拝借し、ハイドロボールに挿してみました。

ハイドロボールという仕組み

半水耕栽培には専用のポットが必要になります。

外側に水を溜めるアウターポットと、内側に植物を入れるインナーポット。
インナーポットにはスリットや穴がたくさん空いていて、そこに「ハイドロボール」という多孔質の石を入れます。
軽石のような、丸くて小さな石です。
この石には細かい空隙がたくさんあって、空気を溜め込み、適度に水分も吸います。
植物はその石に絡みつきながら、空気と水分を吸収して育っていきます。



水耕栽培だと、水に酸素を補充するために、こまめな水換えが必要になります。
でも半水耕だとハイドロボールが緩衝材になるから、月に一度、培養液を換えるだけでいい。
あとは葉水を適宜かけるくらいです。

もともと鉢植えをたくさん育てているので、そのうちのいくつかを半水耕栽培に切り替えてみようという、気軽な気持ちではじめたのですが、このメンテナンスの少なさは予想以上に快適でした。

↓私が使用している培養液「ハイポニカ」

水が減ると、根が動く

仕組みがわかってくると、植物の動きも見えてくるようになりました。

ポットの底に水が溜まっている間は、ハイドロボール全体が湿った状態を保ちます。
水が減っていくと、ハイドロボールが乾いてきます。
すると植物は水を求めて、底のほうへ根を伸ばします。

ウンベラータは特に根の伸びが早かったです。
ぐんぐん根を張って、1年ほどで根詰まりしてしまいました。

そして植え替えを考えたとき、「このポット、自分でつくってみよう」と思いつきました。


「このポット、自分でつくってみよう。」

既製品のポットに不満があったわけではありません。
ただ、日常に置くものだからこそ、見た目にもこだわりたかった。
植物を育てることと、空間をつくることは、私の中でずっと地続きにあります。

試作を繰り返し、デザインを練り直し、約半年が経ちました。

完成品が出来たとき、まずやるべきことはウンベラータの植え替えでした。
でもポットを見てみると、もう手遅れに近い状態になっていました。
インナーポットが根でパンパンに膨らんで、変形していました。
植物を引っ張ってもびくともしません。


ペンチでポットを破壊

夫と二人がかりで作業しました。
ペンチでポットを壊し、絡みついた根を切りながら、少しずつほどいていきました。
思った以上に太い根が張っていて、半水耕栽培でここまで育つのか、と驚きました。

根をいじる作業は、よく「内臓の手術みたいなもの」と言われます。
素早い判断と、丁寧な処置が必要です。
太い根を切る決断には勇気がいります。
植物の健康状態と、その個体のポテンシャルを見ながら、どこで線を引くかを考えます。


新芽が出るまで、そっとしておく

植え替えが終わって数日後、ウンベラータの葉が萎れはじめました。
黄色くなって、ぽろぽろと落ちていきました。

根をたくさん切ったのだから、当然だとわかっていますが、心配に。
毎日様子を見ながら、そっとしておくことだけを続けました。

しばらくして、新芽が出てきました。
小さく、ぷっくりした芽が、枝の先から顔を出しました。
それを見たとき、植え替えの苦労と心配が消えました。


RING B 160 について

その経験を経て生まれた RING B 160 は、2つのリングが重なるユニークなフォルムと、マットな質感・ほどよいざらつきの表面仕上げが特徴です。
機能性はもちろん、インテリアの一部として空間に溶け込むデザインを追求しました。
素材は 3Dプリント製の PLA、アウターポットとインナーポットのセットで、受注生産によりひとつひとつ丁寧に仕上げています。

半水耕栽培をはじめてみたい方にも、すでに育てている方の植え替えにも。
育てる楽しさと、置く楽しさを一緒に届けたいと思っています。